環境問題はなぜウソがまかり通るのか
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武田 邦彦
環境問題という旗の下に隠れている矛盾を引っ張り出そうとすることには意味があると思います。引っ張り出すには客観的な数値や事実とそれらの解釈が必要です。数値などががそれなりに信頼できるものであればこの本の評価はそれらをどうかいしゃくしているかで分かれるのでしょう。
第1章はリサイクルについてです。この章における著者の解釈には疑問が残ります。しかし私たちが実際に行われている環境問題対策について再考するための材料が提示されています。
- 1本のペットボトルをリサイクルするには3本ペットボトルを作るだけの石油が必要
- 日本ではペットボトルを回収後、焼却してもリサイクルと見なされる
- ペットボトルは24万トン回収され、再利用されたのは3万トン
時系列による比較や国別の比較は数値自体の精度よりもその時、その場所が持つ条件自体の解釈がわかれてしまいます。まずはある時、ある場所でのスナップショットからはじめるほうが良いと思います。
第2章でダイオキシン、第3章で地球温暖化について書かれています。二酸化炭素については地球という生態系に存在しうる二酸化炭素の量と空気中に存在する二酸化炭素の量は別の話であることを著者自身も百も承知の上で同じ話のように並べているのはずるいと思います。この章はマスコミを中心としてとらえた方がよいでしょう。
- PCBを含むダイオキシン類とダイオキシンの区別
- 南極はともかく北極の氷は融けても海面は上昇しない
- 放送法第3条、異なった見解があるときには両方を報道すること
マスコミの良識の範疇だと思っていた内容が放送法として記述されているとは知りませんでした。第4章では紙のリサイクルについてです。行政と業界について書かれていますがそれよりも、
- 利用されているパルプ材のうち先進国のものが1.43億トン、開発途上国のものが0.277億トン
という数値が重要だと思いました。開発途上国の熱帯雨林を守るというのが紙のリサイクルの目的であるならばこの0.277億トンがどのように減っているかに注目すべきでしょう。
環境問題は宗教的な心の問題ではありません。現在の私たちの手持ちのカードがどれだけ効果的に使われているかどうかは常に意識する必要があると思います。
環境問題
- [2007/06/02 21:58]
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コメント
いろいろ問題のある本ですね
よろしければ次のサイトをご覧ください。
http://sky.geocities.jp/shchan_3/
shchan_3さんのサイトの方ににちょこちょこっと
コメントを書かせて頂きました。(^^)
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