逆システム学
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金子 勝 児玉 龍彦

私はもともと完全なる均一の元に安定している状態よりも多様なものが存在し、 結果として安定している状態が望ましいのではないかという考え方はどこまで通用するのだろうと思っていました。
ソフトウェアというものは開発に携わっている人以外の人に使われることを前提に作られる場合、入力に対して出力が予測可能であり、 実際にそうなっていることが求められます。これは均一な状態で安定していることを求められていることになります。 出力の予想が困難であろうgoogleの検索結果にしてもこれは入力されるデータの捕捉が困難なのであり、 入力を固定した場合の出力は予測可能です。
このように均一性をもって安定状態を求められるものを作る業界にいながら、 多様性をもって結果としての安定状態の方が望ましいと考えてる私の中に矛盾が生じていたのですがこの逆システム学を読んでその間に一つの区切りを設けることができたと考えています。
周りの環境に合わせて適応しなければならない仕組みを要求されるものには単一の方法や考え方、 アルゴリズムのみでは恒久的には仕組みが維持できないということがこの本には書かれています。 逆に言えば周りの環境に適応する必要がなかったり、 一時的な効果があれば良いような物にはシンプルな仕組みが通用する余地があるということにもなります
MicrosoftOfficeは初期の段階ではとてもシンプルな機能しかありませんでした。 もしMicrosoftがその段階でオフィス用のアプリケーションに必要な仕組みはすべて実装されていると決め付けていればおそらく現在MicrosoftOfficeは生き残っていなかったでしょう。 しかしMicrosoftOfficeシリーズ自体は周りの環境が変化しても生き残っています。 バージョンアップという再インストール作業を行うことで、 単一の仕組みしかなかったものが周りの環境に合わせて別の仕組みが取り入れられることでいわゆる進化が行われたからです。
ソフトウェアを作り出す組織も周りの環境に合わせて進化しなければなりません。 しかもバージョンアップという名の大規模な人の入れ替えなしで行われるのが望ましいとすれば内在的に今までの仕組み以外のものを受け入れることが必要です。 わずかの環境の違いで有効な仕組みは変わってきます。 有効な仕組みを見つけるためには成功例をそのまま導入してもわずかの違いでうまくいかないことが多々あります。 均一な結果をもたらす仕組みのうち有効なものを有効な間だけ用い、 そしてそうでなくなった場合に備えてその代わりになる仕組みも用意し自在に入れ替えられるようにする必要があるのではないでしょうか。 RUPとアジャイルは水とマグネシウムのような関係ではなく、水と油だったとしても混ぜ合わせればドレッシングにもなると思います。
逆システム学
- [2006/06/25 21:45]
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