UMLモデリング入門
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児玉 公信

この本のタイトルは「UMLモデリング入門」となっていますが、サブタイトルは「本質をとらえるシステム思考とモデリング心理学」となっています。UMLの文法入門にはふさわしくないサブタイトルの通り、UMLの文法を習う本ではありません。UMLの文法を通してモデリングを考える本です。
この本の各節にはポイントとなる箇所にピンで留められた印の付いています。そのポイントの多くが「〜と呼ぶ」や「〜という」といった形式になっています。そして各所に演習問題が配置されており、これはまさに理系の教科書の形式ですね。
日本語を単に話すことができるということと、自分が伝えたいことや理解していることを表現できるということの違いは最近の本の売れ筋を見ていても多くの人が感じていることだと思います。この本は単にUMLが読み書きできるということから次のレベルへ向かう際の方法論を支えるであろう文法が持つ意味を習う教科書といえるでしょう。
例えばUMLには関連という表現があります。集約でもなくコンポジションでもなく関連という形で表現する意味はどこにあるのでしょうか。3つのクラスがどのような関連パターンにあるときそこにはどのような意味があるのでしょうか。モデリングという表現による分析結果がもたらす保障と制約は何であるかを分析者とそれを受け取る人の間で共有できることが有益であろうことは容易に想像できます。
設計を伴わない単なる「現場合わせ」の繰り返しに過ぎない作業をアジャイルプロセスと勘違いしている、あるいは施主に設計者の責任まで負わせようとするプロセスになっているとしたら、大いに問題です。
この本は実践書というよりは理論書です。そのため入門ではありますが理解するのは難しい本です。要求と実装の間に設計が必要とされる蓋然性が高さが開発効率に依存するのであれば、UMLという形で表現できる意味にチャレンジするのはその先にある方法論を宗教から科学に変えてくれると思います。
- [2008/06/29 15:54]
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