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打たれ強くなるための読書術 

打たれ強くなるための読書術 (ちくま新書 705)
東郷 雄二
4480064109

自分の中にアウトプット可能な思考を作ることが自分の内側にのみにだけ価値があるのではないと思える人に読書というものへのアプローチが書かれている本です。

 

通常、アウトプット可能な思考は自分の中にある漠然とした状態の後に作られます。著者の言う打たれ弱いというのはこの漠然とした状態からアウトプット可能な思考へとたどり着けないことだと私は解釈しました。アウトプット可能というのは出力される思考が受け入れられる根拠から情緒的な部分が可能な限り排除されたという意味です。

 

人の成長の段階において学校読書、若年読書、青春読書、成熟読書と読書の分類がされています。自我の肥大期に心に響く青春読書の後にくる成熟読書をどのように行うかというのがこの本の主題になります。

 

まず本の選び方、買い方から始まります。といってもここで買えとか、この本を買えという内容が中心にはなっていません。実行可能な選び方や買い方が特色が紹介されていて選択はあくまで自分でという形になっています。私の場合はインターネットと書店巡りがほとんどですが人によってスタイルがあるのは自然だと思います。それでも新聞の下部に載っている本の広告の見方などは興味深く読ませてもらいました。また、「これから出る本」という冊子を次に本を買うときにもらってこようと思いました。自分のスタイルのすぐ横にある方法は試してみて損はないでしょう。

 

後半は読み方、そして読んで得た情報の取り扱い方が書かれています。私が特に大切だなと思ったのは文章を「事実」「推論」「結論または主張」に切り分けて読むという点でした。言われてみれば当たり前のことですが、内容を理解しようと読みながら同時にそれが事実なのか推論なのかという意識をするということは結構難しいことです。しかし文章の内容を受け入れることに抵抗感があり、その抵抗感はどこから来ているのかを考える場合にこの切り分けは有用なツールだと思います。その事実として語られていることが信頼できないのか、その推論が成立する前提条件が妥当ではないのか、結論が推論から飛びすぎていて説得力がないのかなど汎用的なチェックポイントの指標になりうると思います。またこの切り分けの推論を選択肢、結論を判断に入れ替えると事実をもとに選択肢の妥当性を吟味し判断するという仕事を行う上での意思決定プロセスにもなります。

 

斉藤孝氏などの本を読んで本を読むことにはこんなにおいしいことがあるよということが実感できた後、さらにそのおいしさを際立たせるにはと考えている方にとって一読の価値がある本かもしれません。

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